ちょっと調べたいことがあって、mixiの古い日記を読み返した。
すると、こんな一節があったので転記する。
************************************
会社の近くにある喫茶店での一幕。
私がランチタイムで昼食をとっていると、「社長」と呼ばれる常連さんが入ってきた。
社長は、昼食を注文すると、「煙草を買ってくる」と店を出た。
店を出たところで、喫茶店の奥さんが「私が買ってきますよ」と社長を追った。
社長は「いいよ、いいよ」と恐縮し、首を横に振った。
それから、数分後、社長は店に帰ってきた。
手には、2カートンの煙草を持っていた。
社長はそのうちの1カートンをおもむろにマスターに渡した。
「す……すみません」とマスター。
意味も分からず、ただ戸惑うマスター。
そんなマスターに社長は笑いながら言った。
「さっき、奥さんが具合悪いのに『私が買ってきますよ』って外出ただろう。その気持ちが煙草に化けたんだ。奥さんに感謝しな」
ただ、遠くで話を聞いていた私であったが、心がキュッと締め付けられるような感覚に襲われた。
高級車やブランド品など、高価なものに価値を見いだすことも否定はしないが、社長のように、【心意気】に価値を見いだし、投資できる人を私は深く尊敬する。
そこには、なんの魂胆もなければ、見返りもない。
あるのは、社長の思いだけである。
この【社長】がいかなる人物か私は知らない。
ただ、この社長は、私にないものを確実に持っているのだろう、と思った。
いつか、私もこういうことが造作もなくできる器を持ちたいと願った。