やさしさの片鱗

連休中、娘のおままごとの相手をしていた。

最近、娘はディズニーのプリンセスが好きで、

そのお人形たちがレストランにやってきたというシチュエーションの遊びである。

 

私は、プリンセスのキャラクターに合わせて、

注文をする。

それに対して、娘が反応するという遊びである。

 

シンデレラのお人形がやってきた時のことである。

私はシンデレラのキャラクターになりきって、

「私は、お金がないからオレンジジュースだけでいいわ」

などと言った。

深く考えた台詞でもない、ただ、シンデレラのキャラクターならば、

そんなことを言うのでは…という程度である。

すると、娘は突然考え出した。

どうしたのだろう、と娘を見ていると、

おもむろに自分のおもちゃの財布を取り出した。

そして、おもちゃのお札を出して、

「これで好きなものを買って」

と、言ったのだ。

 

3歳相手のおままごとだと思って油断していた私は、

すっかり虚を突かれてしまった。

 

当然のことながら、娘の心や言動は安定していない。

こうしたやさしい事を言うかと思えば、

とんでもなく不謹慎なことや利己的なことも平気でやる。

 

だから、やさしい子に育っている、という安心感はない。

しかし、時折見せるこうした「やさしさの片鱗」を見逃さず、

伸ばしてあげたいと願っている。

 

そのためには、親としてある程度の心の余裕は必要なのだろう。

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