私のデスクの引き出しには、
やたらと古いホッチキスの芯が一箱ある。
高校三年生の時、地元熊谷のダイエーでアルバイトをしていた頃、
買ったものだから、かれこれ20年以上前のものである。
別に大切に取っておいた訳ではなく、引き出しの奥に隠れていて
使いそびれていたりということが重なって
たまたま今に至るまで生き残っているという代物である。
ただ、そのホッチキスの芯を見るたびに思い出す。
生まれて初めてアルバイトをした日々、
楽しかったが失敗も繰り返し、
バイト先の大人達に迷惑を掛けて、
辛酸を舐め続けた日々。
あのとき、どういうわけかいろんなことに悩み、
悩みすぎて出来た帯状発疹の跡は今でも残っている。
そんな折、ダイエーがイオンにより、完全子会社化されることを知った。
ダイエーという名がこの世からなくなる。
熊谷のダイエーはとっくになくなったが、
ダイエー自体がなくなるということはある種の感慨がこみ上げてくる。
ホッチキスの芯はもうすぐ使い終わる。