『映画を撮りながら考えたこと』

是枝監督が書いたエッセーを読了しました。

タイトルが「映画を撮りながら考えたこと」なので、

当たり前の事ながら、どんなこと考えて映画を作っているんだろうという

興味から購入したのですが、

読んでみると内容の半分が、ディレクターとしてドキュメンタリーを演出した時のことが書いてありました。

これは、私にとってうれしい誤算でした。

 

なぜなら、同業者の人がどのような心持ちで番組を制作しているのか

書かれた著作がほとんどないからです。

特に、地味であまり評価されないドキュメンタリー番組ならば尚更です。

 

おそらく、是枝監督ほどの人でなければ、この内容を書籍には出来なかったでしょう。

かなり、コアなことが書かれていました。

そして、そこに書かれている内容は、私のような末端のディレクターにも

大変参考になるものでした。

例えば…

『僕がドキュメンタリーで描く対象の多くはパブリックな部分です。
だから何かを誰かを批判してもそれが個人攻撃に終始するのではなく、
そのような個人を産んでしまう社会構造自体を捉える視野の広さと深さを大切にします』

この辺の感覚は大いに共感します。

ただ、自分が出来ているかどうかについて考えると胸が痛みます。

テーマによって、どこかで悪者を作って答えありきで作ってしまうことはないだろうか。

パブリックとパーソナルの切り分けが本当に出来ているか、

自戒を込めて考えます。

 

ネットやSNSの発達により、パブリックとパーソナルの境目が分かりづらくなった今、

我々個人がしっかりとしたリテラシーを持っていなければならないのではないでしょうか。

それが、テレビ番組を作る制作者ならば、尚更のこと。

ただ、テレビのディレクターが皆、そうした感覚を持っているかというと、

甚だ疑問です。

現場での経験、という名の中途半端な礎にしがみつき、

あぐらをかいていないでしょうか。

業過に入り20年。中堅と言われるようになった今、改めて襟を正さなければならない、と感じました。

 

ってなわけで、図らずもテレビディレクターとして勉強になる一冊でした。

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