ある日、奥さんと娘がバスに乗っていたときのこと。
娘が、バスの中で歌を歌っていた。
「おうまのおやこは なかよしこよし~♪」
すると、近くに座っていた老女が、
「ちょっと、静かにしていただけます」
と、注意をしてくれた。
「すみません」
と、奥さんは謝る。
そこで終われば何でもない話なのだが、
そのやりとりを見ていたオジサンが、
「これくらいいいじゃねぇか、微笑ましいだろう!」
と、老女に言ったらしい。
すると、老女は烈火のごとく怒り言い返した。
「こういう公共の場所では静かにしなければいけないのです。
○○という本に書いてあるのを知らないのですか!
あなたは勉強不足です。
あなた、ろくな学校も出ていないでしょう。だから、わからないんです」
みたいな感じで少し上から目線で老女は言ってしまったらしく、
オジサンはカチンときたらしい。
「オレは、高卒だよ。オタクはどこの大学出たんだい!」
「東大です」
と、この辺りで老女はバス停を降りたらしい。
「あのおばちゃん、東大の品位を下げたな」
オジサンはそう笑い「気にすんなよ」と奥さんに言ったそうな。
娘は、自分の事でケンカしていることは理解しているらしく、
このやりとりをしている間、終始泣いていたみたい。
私は、このやりとりを聞いて、
「良かったな」と思った。
娘は、小さな世間の側面に触れたのだ。
家族に守られて、温室の中にいたのでは決して味わうことがない側面に触れることにより、
きっと、何かを感じたに違いないと思ったから。
まぁ、これから幼稚園に行ったり、小学校に行ったりすると、
嫌でも、触れることになるんだけどね。
学校は、社会と合わせ鏡になっているから。