起業について独り言③

好きなことをしてきた。

若い頃は、好きなことをしているのだから、

多少給料が安くても、

多少休みがなくても、

多少寝られなくても、

構わないと思っていた。

 

しかし、それが若い頃に限ったことではなく、

放っておけばいつまでも続く。

結婚もできない。

 

思い切ってリスクを背負って独立する。

というかするしかなくなる。

何とか生活できても、毎年、というか毎月不安と背中合わせの自転車操業。

この悪しき構造の根源は二つ。

一つは、好きなことをしているのだから苦労して当たり前という風潮。

たしかに、若い頃の苦労は買ってでもしろというし、

厳しさは必要だ。

しかし、個人の過度な努力でようやく支えられている産業は、

いつか衰退する。

今の映像業界がまさにそれだ。

映画やドラマはもっとその兆候にある。

 

 

その仕事が好きなのはどの職種でも同じだ。

好きだからその職業を選んで、やりがいを見いだす。

それは、映像業界に限ったことではない。

しかし、かつて多くの人が憧れたこの業界の経営者は、

憧れの職業をさせてあげてやっている、

という傲慢さがどこかにある。

 

仕事は甘くない。

社員は人並み以上に努力をしなければならない。

しかし、経営者は社員の過度な努力を前提に経営をすべきではない。

 

こうした悪しき構造の背景には、

仕事の発注経路にある。

映像制作会社のほとんどは営業部門を持たない。

というか、持てない。

なので、代理店から仕事が来るのを指をくわえて待っているしかない。

仕事を自ら生み出す構造を作らなければ、

映像制作会社の未来はない。

 

もちろん、大手制作会社は百も承知でとっくにやっている。

 

大手ではない小規模の会社でも、

その構造を生み出さなければ、

起業してもいずれ行き詰まるのは目に見えている。

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