未完の大器

才能ひしめく選手達が居並ぶ巨人軍の中で、

その素養がトップレベルであることは、

誰もが認めるところだった。

昨シーズンまで、松井秀喜の背負っていた背番号55を背負い、

スラッガーとしての階段を上っていくことを、

巨人ファンの誰しもが信じて疑わなかった。

大田泰示のことである。

 

しかし、期待され入団してから6年。

彼はその期待をものの見事に裏切り続けてきた。

2軍では記録を打ち立てるほどホームランを打ちまくったのだが、

1軍では全くといっていいほど結果が出ない。

昨年までのホームラン数は2本。

 

ど真ん中のボールを見送ったかと思うと、

難しいボールに手を出し、力ないスイングで空振り三振。

何度、そんなシーンを見てきたことか。。

 

気づけば、同期の橋本至に追い抜かされるという、

屈辱的な状態で、彼は今シーズンもそのほとんどを2軍で過ごした。

ところが、相次ぐ故障者が出たことで、

この未完の大器にも思わぬチャンスが巡ってきた。

優勝争いをしているこの大事な時期に1軍のベンチに座ることが出来たのである。

 

そして、昨日。

6-7、一点ビハインドの8回、

ノーアウトランナー一塁で大田は代打として

バッターボックスに送られた。

カウント2-1からの四球目。

難しいボール気味のスライダーを体勢が崩されながら、

スタンド上段まで運んだ。

代打逆転2ランである。

 

正直、チャンスの場面で大田が出ると、

私は心の中で凡打することを想定していた。

期待をすると、落胆したときのショックが大きいからである。

ファンにそういう心の準備をさせるほど大田は、打てなかった。

 

だから、本当にうれしい。

 

ただ、彼の才能からしてこの程度で喜んでもらっては困る。

シーズン30本~40本打っても、驚かないほどの自力を備えているのだから。

来年、巨人の4番に大田が座っていることを、

ファンとしては夢見ている。

https://www.youtube.com/watch?v=tmv_w3mcRVA

 

Follow me!

上部へスクロール