昨日、日経が主催する「人をつなぐ言葉」というシンポジウムがあった。
私の目当ては、その中で行われる辻村深月トークショーだった。
しかし、その前に挨拶に壇上に上がったのが、
阿刀田高さんが上がったのでビックリした。
日経と共催している、公益法人の副理事長というお立場での
登場だった。
あの世代の作家らしい、言葉に対するこだわりの一端を伺うことが出来て良かった。
そして、いよいよ辻村深月の登場。
デビュー10周年ということもあり、ここのところメディアにも多く登場している。
基本的には、その時に話している内容が多かった。
しかし、およそ1時間のトークショーの中では、
雑誌やテレビのインタビューなどでは聞くことが出来ない話も出てきます。
どの作家さんもそうですが、辻村さんは無類の読書家として知られている。
特に、10代の爆発的な読書体験が彼女の作家人生の支えになっている。
だから、
あの頃、10代の自分がなけなしのお金を出してまで買う
価値のある物を私は、今、書いているだろうか?
ということが、書く上での基準となっているという。
つまり、一番の書評家が10代の自分だということです。
そして、「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ」を例に出して、
『負け犬』という言葉にも当てはまらないような女性を描きたかった。
と、語っていた。
ちょうど、その本を書いた頃、酒井順子さんの「負け犬の遠吠え」が、
流行していた。
しかし、その「負け犬」という言葉が一人歩きしていることに、
違和感を感じたという。
そして、そこにも当てはまらない、一言では表すことの出来ないものを
小説として表現したい、と思ったという。
言葉に出来ない感情を小説として表現するのが作家の役割だと、言っていた。
私は、ここの部分が一番印象に残った。