巨人の坂本は内角打ちの名手である。
しかし、外角のボールにウィークポイントがあり、
腰が引けたようなスウィングになってしまう。
昨年、坂本は外角のボールを逆らわずに流し打ちする
新打法に取り組んだ。
内角も打てる、外角も打てる…これで完璧な打者になれる…
はずだった。
ところが、事はそう簡単に運ばない。
外角のボールをあまりにも意識するうちに、
なんと得意の内角のボールが打てなくなったのだ。
昨シーズン坂本は、レギュラーになってから最低の数字でシーズンを終えた。
悩める坂本にアドバイスをしたのが、
巨人の選手の中で絶対的な存在の高橋由伸だった。
高橋由伸は、坂本に「短所を補うために長所を消している」と、アドバイスした。
それよりも、長所を伸ばし、長所で勝負した方が良いというのだ。
坂本はそのヒントを頼りに、今、復活へ向けて歩み出した。
まだまだ、坂本の実力からすると、物足りない成績だが、
昨年よりも明らかに向上している姿が見える。
短所を補うよりも、長所を伸ばす。
これは、簡単にできそうで、なかなか出来ない事である。
私が思うに、これは、短所を補うために努力した人間だけが、
身に染みて感じる言葉なのかも知れない。