石ものがたり

それは家族でプールに行ったときのこと。

急に腰が痛くなり、プールサイドに横たわる、私。

「なんか、痛いから寝てる」

 

娘と妻は、さほど心配もせずプール三昧。

 

それから、1時間経ち、2時間経ち…それでも痛い。

だんだん痛さが増してくる。

 

プールサイドのお姉さん指導員に「すみません、痛いので休ませてください」と頼む。

お姉さん、救護室まで案内してくれたまでは良かったのですが、

「はい、どうぞ」とそのままフェードアウト。

家族に知らせる術もなく、ベッドに横になることしかできない。

痛みは増す。

やばい、明らかにやばい。

蘇ってきた、10年前の記憶。

石だ、きっと石だ。

そうなのだ。10年前にも尿管結石をやっている私。

このとき、結石だと確信した。

 

しかし、ひとり救護室で痛みに耐えるしかない。

 

ほとんど動けない状態だったが、チカラを振り絞り家族を探す。

探せるわけがない。

なので、今度はプールサイドにいた頼りになりそうなおばさん指導員がいた。

「痛くて救護室にいるのですが、家族を探してください。5歳くらいの子どもが、ピンクのピンクの…」

ラッシュガードが出てこなかった。

それでも、おばさん指導員は引き受けてくれた。

 

ほどなく、家族が現れる。

このとき、娘は(トゥトゥ死ぬな)と思ったらしい。

妻は(胸がたれぱんだ みたいだな)と回顧している。

ともあれ、家族に助けられ病院へ。

 

病院に着く頃には石が腎臓を通過し、痛みは取れた。

 

そして、二日後、体の外に排出された。

 

石よ、さらば。

 

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