夏休みの思い出を思い返しても、
全く浮かばない。
中学生からは、部活動に明け暮れていたし、
小学生に至っては、だらだらと毎日テレビを見ていた記憶しかない。
ただ、お盆が明けたこのころになると、
妙にさみしい思いに駆られたという感覚だけは、
心のどこかに残っている。
夏休みが始まると、
その時間は永遠にあるようにも思えた。
さぁ、この有り余る時間をどうすごそうかな。
と、余裕綽々で構えていると、
いつの間にか、お盆が明けている。
そして、夏休みの底を見るのだ。
ああ、夏休みって終わるんだ。
当たり前のことを、実感する。
なんだか、人生も同じように思う。
若い頃、人生は永遠に終わらないのではないか、
という錯覚に陥ることもしばしばあった。
ところが、今、ぼんやりとだが、人生の底が見え始める。
「何言ってるの、若いのに!」
と、先輩方に怒られそうだが。
あの夏休みの底を感じ始めた、さみしい感覚を思い出すたびに、
時間は限りあるものだと、実感する。