文藝賞を獲得した、李龍徳という作家の処女作。
無名の作家の処女作など、めったに買うことがないのだが、
なんとなく気になり、購入。
結果、久々に大ヒット!
読後、三島由紀夫が小説に対して論じていた一説が浮かんだ。
『小説などというものがあるおかげで、それさえなければ無自覚に終わった筈の人生の秘密に目をひらかされ、しかもその秘密の根を否応なしに自分の中に発見させられ、無言の告白を強いられ…』
「死にたくなったら電話して」も、
まさに、そういう余計なことをしてくれる作品である。
人間の化けの皮を剥がされ、見せつけられた気分。
人間の正体など知らずに一生を終えた方が、
幸せかもしれないが、
目を背けるわけにもいかないのも事実。
これまでの価値観が揺さぶられる作品。