ネズミの国~エピソード2~

ネズミの国来訪の目的の一つは、

プロジェクトマッピングだった。

シンデレラ城に、ディズニーの様々なキャラクターが

映し出されるというのだ。

 

ディズニーファンならずとも、興味深いだろう。

 

幸運にも妻がかなり見やすい優先席を抽選で引き当てた。

さて、夜を待つばかり…と、待っていた矢先、

吹きすさぶ海風が、ひんやりと身体を襲った。

 

始めは、「冷えてきたね」くらいで笑っていたが、

時間を追うごとに笑い事ではなくなった。

少し風邪気味だった私には絶えられないくらいの寒さ…

このまま体調を崩すくらいならば、

いっそ身銭を切って、パーカーでも買うか、

と、近くの店に飛び込むと、そこは、カリブの海賊近くのショップ。

あるのは、胸のところにどくろマークをあしらってある、

最低のデザインのパーカーのみ。

私は考えた。

少し先に行けば、それなりのデザインのパーカーが買える。

敢えてイケてないパーカーをここで買う必要があるだろうか。

しかし、「イケてないから、先のお店で買おう」

などと言ったら、妻からどんなクレームがくるかわからない。

そう考えた私は、全く気に入っていない、ドクロマークのパーカーを

3900円という大枚をはたいて買った。

そのパーカーを着た私を見て妻が言った。

「もっと違うのにすれば良かったのに…あと、5分待てなかったんだね」

 

まぁ、いい。

 

寒さがしのげれば…

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