仕事が忙しくなると、必ず同じ思考回路に陥る。
あれ? 何のために仕事してるんだっけ…と。
「家族のために」とか、考えられる人間ならば結構楽なんだろうけど、
家族のために仕事をしているわけではない、ということは、
明確に自分の中にある。
なぜなら、家庭を持つ前から私は仕事を全力でしていたし、
それが、家庭を持っていた人達と劣るとは思っていなかったからである。
だから、「養う人がいるから」
という理由を賃上げ交渉に使っていた先輩ディレクターに対して、
若い頃から疑問を感じていた。
それは、仕事の質とは無関係である。
家族を養うのは家庭を築いた以上主の義務であり、目的ではない。
ならば、目標はなんだろうか、と考えたときに、
結局、目の前の仕事の中にしかないのだろうという、結論に落ち着く。
幸い我々の職業は、人の心と対面するものである。
少なからず、心に残るものを作り続ける。
そのためにはどうしたらいいか。
どんな小さな仕事でも、何かしらの答えがあり、
それを探して見つめ続ける、そこにしかない。
小刻みな目標の積み重ねしか、
打開策がないのだろう。