被災地を駆けずり回って取材してから、
3年後、再び訪れた被災地の風景は、
落ち着いたものでした。
瓦礫はすっかりなくなり、新築の家もちらほらですが建ち始めています。
インタビューにご協力していただいた被災者の方々も、
冷静に振り返ってくださいました。
防災教育、という切り口でいろいろ話を聞いたのですが、
誰しも、被災するまではまさか自分の所にこんな大きな災害が
来るなんて思わなかった、と話していました。
たぶん、そうだと思います。
私自身もそうです。
どんなに意識の高い人でも、日常的に身構えて生活することなんてできないでしょう。
それに、どこか自分だけは大丈夫、と思ってしまうものです。
それを拭うことは、平和で当たり前の生活をしている我々には、
出来ないのだろうと思います。
それは、被災者の方々も言ってました。
自分達もかつて、遠い地で大きな地震があっても他人事だった、と。
ならば、我々ができることは何か?
そのヒントを探すのに、有意義な旅になりました。
夜、被災者数人とお酒を飲んだのですが、
その時、出たのはマスコミへの怒りでした。
お涙頂戴一辺倒の報道に対する違和感。
1年後、2年後、節目にひょっこりやって来る姿を見て、
子ども達が「ネタ探しに来たみたいね」と言ったといいます。
私は、今回、マスコミというよりも、
教育関係者という立ち位置だったのですが、
少なくとも、取材して多少なりの禄を食むことは間違いないわけです。
構造は彼らとなんら変わりない。
だからこそ、真摯な姿勢が求められるのではないかと考えました。