西武の伊原監督が退任した。
彼は、かつて鬼軍曹でならした名ヘッドコーチから、
監督まで上り詰めた人物である。
就任するや選手達に規律を求め、
ユニフォームのきこなしから口出し、
ヒゲ、茶髪を禁止させた。
その伊原監督が選手達にミーティング中、
こんな投げかけをしたという。
「君たちは西武鉄道の初乗り運賃を知っているか?」
誰も答えられない選手達を見て
「そういうことを知らなくてはダメだ」と言い放ったという。
果たして本当に初乗り運賃など知る必要があるのだろうか。
それよりも、選手達には自由に振る舞わせて、
のびのびとプレーさせた方が良かったのではないか。
新聞のコラムではその是非について書かれていた。
私の見解を言うと、
これをやったら勝てる、
というような短期的な見返りを求める
話ではないのではないかということである。
言うに及ばず、初乗り料金を知ったところで勝てるわけではない。
しかし、自分の高給はどのようなお金が積み重なって、
支払われているか、知ることは人として重要である。
伊原監督はきっと、人間教育をしようと思ったのだろうと思う。
ただ、おそらく問いかけに対する説明やフォローが足りなかったのかもしれない。
上から見下したような質問には、
反発こそあれ、素直に耳を傾けることは難しいだろう。
思いを伝えるためには、相手に歩み寄る姿勢が必要ではないか。
それは、媚びへつらうこととは違う。
ほんのちょっとした気遣いだったのだが…
最後は自ら引くことでしか、それが示せなかったのが残念である。