池井戸さんの出世作。
直木賞受賞作でもあるが、基本的にはいつもの池井戸さんの世界の話。
やっぱり、融資が滞り、訴訟を起こされたりする。
池井戸さんのは、何冊が読んでいるが、
どれも話が似通っている。
しかし、個人的にはそれでいいと思う。
作者も自覚している。
それを証拠に、白水銀行や東京中央銀行は、氏の作品にはほとんどと言っていいほど出てくる。
なぜ、それで良いか?
それは、人間が書けているからだ。
とりわけ、悪人が書けてる。
だから、面白い。
おそらく作者は銀行で、嫌な人間をたくさん見てきたのだろう。
そして、嫌な思いをたらふくして作家になった。
それが、生きているんだ。
私も、嫌な人間にたくさん会ってきたし、
嫌なこともたくさん経験した。
しかし、それと書けることは違う。
嫌な事って、やっぱり本質的に書きたくない。
それを、ここまで書けることが素晴らしい。
そして、予定調和と言われるかも知れないが、
すかっとした最後。
読後感が、良い。