高校時代、三年間バレーボールしかしてこなかった印象しかない。
せいぜい、一回戦かいいところ二回戦くらいまでしかいかなかった弱小チームだが、
顧問は、地域でも有名な体育の先生。
みっちりしごかれた。
いろいろな事を教わったが、
今、印象に残っているのが【視野】である。
私のプレースタイルは猪突猛進。
まさに、イノシシのようにボールを追いかけ、
必死にプレーするタイプであった。
(今も変わらないが…)
すると、先生が私を呼び出し言う。
「いいか、視野の狭いヤツはだめだ。恐いかもしれないが、一度ボールから目を切れ」
目を切る、とは要するに、ボールから一度目を離すという意味である。
高校時代の私は、当初「そんなことできるのか?」と思った。
ボールから目を離したら、見失って落としてしまうだろう、と考えていたからだ。
高校を卒業して、20年以上経った今、
なんとなく、当時、高校の先生が言っていたことが、
わかるようになってきた。
体力も衰え、力任せでやることに限界を感じ始めた今、
広い視野を持ち、弱い力で相手の穴をつく、
そんなことをしなければ、太刀打ちできないようになったからだ。
これは、仕事においても、家庭においてもそうなのだろう。
若いときには、一点に向かって突き進めばいいのだろうが、
今はそれだけではダメなのだ。
目標はぶれずに、一点に向かって進まなければならないのだが、
時には、目標から目を切り、周囲をチラ見するぐらいの余裕はほしい。
すると、思わぬ抜け道が見えたりするものだ。